自然災害伝承碑|長崎県|横断歩道のすぐ横に立つ、復興の船出を伝える「長崎大水害記念塔」
ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐっています。
前回に続き、長崎の石碑の第二弾です。今回は、長崎市浜町にある「長崎大水害記念塔」。1982年7月23日の長崎大水害のあと、1984年に建てられました。亡くなった方を悼む碑とは少し違い、「復興」そのものを讃える塔です。
水位1.57m、「思案橋」の街で
【訪問日:2026.8.12】
国土地理院の地図に載っている伝承内容によると、この場所は「思案橋跡」。1982年7月23日の集中豪雨では、この地点の水位が1.57mに達し、人も車も物もすべてが濁流の底に消えていった、とあります。
碑の概要

- 碑名: 長崎大水害記念塔
- 災害名: 昭和57年7月豪雨(長崎大水害)(1982年7月23日)
- 災害種別: 洪水・土砂災害
- 建立年: 1984年
- 所在地: 長崎県長崎市浜町
- 伝承内容:
- 昭和57年(1982)7月23日の集中豪雨で、この思案橋跡の地点での水位は1.57mに達し、人も車も物もすべてが濁流の底に消えていった。そのような中でも、市民は復興に立ち上がり、思案橋の街も明るさを取り戻した。塔飾りは、大水害復興の心意気を讃えるため、未来に向かって海に向かう御朱印船を配している。(国土地理院地図(自然災害伝承碑表示画面にある伝承内容)より)
- 昭和57年(1982)7月23日の集中豪雨で、この思案橋跡の地点での水位は1.57mに達し、人も車も物もすべてが濁流の底に消えていった。そのような中でも、市民は復興に立ち上がり、思案橋の街も明るさを取り戻した。塔飾りは、大水害復興の心意気を讃えるため、未来に向かって海に向かう御朱印船を配している。(国土地理院地図(自然災害伝承碑表示画面にある伝承内容)より)
1.57mという高さ
前回は、山あいの日見地区の碑でした。今回は、市街地のど真ん中です。
記念塔には、水位を示す線と表示があります。その線の真横に立って、指差してみました。

その高さは、私の身長を超えていました。「こんなところまで…」と、思わず驚いて、じわじわと恐ろしくなりました。数字で「1.57m」と読むだけでは分からなかった高さが、自分の体と並べることで、はっきりと分かります。
普段、人や車が行き交う街なかが、1982年7月23日の集中豪雨で、濁流の底に消えてしまった。そう思うと、目の前の景色が少し違って見えました。
「復興」を讃える塔
この塔のいちばんの特徴は、悲しみを刻むだけでなく、立ち上がった市民の心意気を讃えているところです。
地図の伝承内容によると、塔の飾りは、未来に向かって海へ漕ぎ出す「御朱印船」。長崎が海外との交易で栄えた歴史を思わせる船が、復興への願いを乗せて、いまも街を見守っています。
訪ねて感じたこと
一番心に残ったのは、この記念塔が横断歩道のすぐ横にあることでした。
信号待ちをしている間、目の前に塔が立っている。わざわざ探しに来なくても、街を歩く人が自然と目にする場所です。通勤や買い物の途中、ふと塔の飾りの御朱印船が目に入るかもしれません。暮らしの中で多くの人が行き交う場所にあることの意義は、とても大きいと感じました。
しかもこの塔は、建立当時から、ずっとここに立ち続けているそうです。水が来たまさにその場所で、一日中、40年以上。これは、人にはできないことだと思いました。昼も夜も、通りすがりの人に「ここまで水が来たんだよ」と、黙って伝え続けてくれています。
暮らしのそばに
人は、どんなに大きな出来事でも、時間がたつと忘れてしまいます。だからこそ、信号待ちのわずかな時間に目に入るような、暮らしのすぐそばに立つこの塔が、記憶をとどめる存在になるのではと思います。
自然災害伝承碑は、この塔のように横断歩道のそばでなくても、人の暮らしのそばに建てられていることが多いです。たとえば、公民館、公園、バス停、地域のごみ収集場所。お寺や神社にもあります。毎日の暮らしの中で、ふと目に入る場所です。
そんなふうに暮らしのそばにある石碑が、普段は記憶をとどめ、いざ災害が起きたときには「あのとき、ここまで水が来たんだ」と思い出させて、命を守る行動へと促してくれる存在になるのではと、私は思っています。
ベルは、こうした碑が「ここにあるよ」ということを、少しでも多くの人に知って、活用してもらいたくて、全国をめぐっています。まずは「近くにどんな石碑があるのかな?」と、地理院地図をのぞいてみませんか。通勤や散歩の途中で、いつも通る場所に、実は石碑があるかもしれません。
おまけ

自然災害伝承碑めぐりの旅は、目的地は石碑がある場所と限られるのですが、自分で選ぶことが出来ないという制約が「偶然」とも「必然」とも言える出会いをもたらしてくれます。
ふだんなら足を向けない場所に立ち、ふだんなら気にとめない街角の景色が目に入ってきます。前回の記事で紹介したマンホールの星印も、そんな出会いのひとつでした。

碑めぐり旅のときにはできるだけ、夜と朝(早朝)に宿の周辺を散策するようにしています。観光地では特にそうするようにしているのですが、長崎市でお世話になった宿の周辺はスマホでパチリと撮影した景色がノスタルジックだったり、外国の港町(行ったことないけど💦)みたいだったりして、異国情緒が漂う写真が撮れました。
なんだかすごい街力。
特に夜景は絶品だなと思いました!
長崎にはベルの大好きな災害伝承(石碑ではない)のある場所なのですが、いつの日か、その伝承の場にも立ち合って、みなさまにご紹介できたら、、と夢ふくらんだ長崎探訪でした。
寒露の頃となりました。
冬鳥の渡りを知らせる投稿を目にするようにもなり、季節の変化を感じています。
暗くなるのも早くなり、朝晩の冷え込みも強くなってきました。
風邪をひかないように気をつけてくださいね。
ではまた!
次回は佐賀県の自然災害伝承碑を紹介する予定です!
ベルでした。





