台風

自然災害伝承碑|兵庫県赤穂市など西播地方を襲った台風17号…全国で53万棟以上が浸水した記憶と防災の誓い「自然を尊び自然を創る」

Bell

こんにちは!ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐる旅をしています。今回は兵庫県赤穂市です。昭和51年に日本全国で猛威を振るった台風17号の記憶と、そこから立ち上がり未来への防災の誓いを込めて創られた「自然を尊び自然を創る」の碑を訪ねました。

豪雨の記憶と防災の誓い。碑の概要

【訪問日:2026年2月22日】
瀬戸内海に面した兵庫県赤穂市にある広大な「赤穂海浜公園」内に、自然との共生と防災への強い思いが込められた石碑が建っています。 この碑は、西播地方を中心に甚大な被害をもたらした台風の記憶を末永く残し、二度と同じような被害を出さないよう防災の誓いを新たにするために建てられました。

碑の概要

  • 災害名: 昭和51年台風17号(1976年9月)
  • 災害種別: 洪水
  • 建立年: 1978年
  • 所在地: 兵庫県赤穂市御崎(赤穂海浜公園)
  • 伝承内容
    • 昭和51年(1976)9月に発生した台風17号は、西播地方を中心に岡山県下のほぼ全域に大きな被害をもたらした。
    • この災害に際し、拝領した御下賜金(ごかしきん)を基に、兵庫県が赤穂海浜公園内に防災の森と記念碑を創った。
    • 17号災害を末永く記憶にとどめ、防災の誓いを新たにした。

驚きの被害規模。全国で53万棟以上が浸水

台風17号は長期間日本付近に停滞したため、全国的に記録的な大雨となりました。被害は西播地方や岡山県だけでなく、全国で死者161名、行方不明者10名に達し、そしてなんと床上・床下浸水は合わせて約53万4千棟以上にも及んだそうです。

期間降水量が四国地方で2,000mmに達した所もあり、広範囲にわたって長期間雨が降り続き、各地で土砂災害や洪水が多発しました。想像を絶する数の家屋が水に浸かった事実を知り、自然の持つ脅威の側面を決して忘れてはならないと改めて思いました。

安全な暮らしへの願いが込められた「防災の森」

災害の記憶をただ残すだけでなく、その教訓を「防災の森」という具体的な形にして未来へつなげていることが、この石碑の重要なポイントです。 大災害に際して拝領した御下賜金を基に、人々の憩いの場である赤穂海浜公園に木を植え、防災の森を創り、そこに碑を建てました。 私たちが今、緑豊かな公園で安全に楽しく過ごせているのは、「自然を尊び、同時に安全な自然環境を創り出していく」という、先人たちの防災への強い誓いがあるからなんですね。

もうひとつの警告を見せつけた石碑

しかし、その一方で、この石碑を見つけたとき言葉を失いました。それは視界には確かに存在しているのに、人々の意識からは消え去っている。それは「在るのに、無い」という、奇妙な断絶です。

案内板も、磨り減った碑文を読み解くこともできないその巨石は、目の前を通り過ぎる人たちにとっては、ただの大きな庭石と何ら変わりはないことが想像できました。どんなに強固な岩に刻んだ教訓であっても、受け取る知恵を持たない者にとっては、沈黙する石に過ぎません。

「伝承がその命を失うのは、物理的に破壊されたときではなく、誰の思考にも触れなくなったときだ」と、この石碑が警告をしてくれているように感じました。

この石碑は地図記号にも登録されているものです。広大な公園に集まっていた多くの人たちが、災害の記憶が刻まれた石碑の存在と教訓を知ることができますように。

〜広範囲に及んだ台風17号の爪痕〜

赤穂から海を隔てた香川県の小豆島でも、この台風17号は猛威を振るいました。なんと平年の年間降水量を超える1,328mmの大雨を降らせ、土石流や洪水で多数の被害を出したそうです。また、遠く離れた岐阜県の長良川上流でも1,000mmを超える雨により堤防が決壊するなど、本当に日本中で大きな爪痕を残しました。 一つの台風がこれほど広い範囲に影響を及ぼすことがあるというのも、私たちが忘れてはいけない教訓ですね。

おまけ 〜赤穂の塩と巨大堤防「唐船大土手」〜

赤穂といえば「忠臣蔵」と並んで全国的に有名なのが「塩」ですよね!江戸時代には「赤穂塩日本第一也」と評価されるほどのトップブランドでした。 そんな大規模な塩田を開発するためには、海水を防ぐ「防潮堤」の建設が不可欠でした。

今回訪れた赤穂海浜公園のすぐそば(現在の唐船サンビーチの北側)には、寛文7年(1667年)に浅野家によって造られた「唐船大土手」という巨大な堤防が今も残っています。東西約1kmにもおよぶ大規模なもので、現在も堤防や道路として活躍しており、実際に見学することができるんですよ。

また、記念碑がある赤穂海浜公園のなかには、かつての塩田を復元した「塩の国」があり、昔ながらの塩づくりの歴史を学ぶこともできます。防災の森を歩いたあとは、赤穂が誇る塩の歴史に触れてみるのもおすすめです!

現地へ行く、実際に見る、五感で体感することの大切さをみなさんにお伝えしています。過去の災害から学び、将来に備えることは、自分だけでなく大切な家族や友だちの命を守る力になります。皆さんもぜひ、身近な災害伝承に触れてみてください。

それではまた来週に⭐︎
ベルでした😊

経験と知識のシャワーを
愛知県|おそるべし伊勢湾台風
愛知県|おそるべし伊勢湾台風

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ベル
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災害伝承ラボのX係
災害時に役立つバンダナと帽子がわりのパトライトがお気に入り。 災害伝承のこと、自然災害伝承碑を巡る旅と防災の情報をXで発信係です。
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