地震

自然災害伝承碑|1,320戸が被災して犠牲者はたった2名。高知県土佐市「震災復興記念碑」が伝える津波からの生還と教訓

Bell

こんにちは!ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐる旅をしています。今回は高知県土佐市宇佐町です。昭和21年の昭和南海地震で大きな津波被害を受けながらも、過去からの教訓で多くの命が救われた記憶を伝える「震災復興記念碑」を訪ねました。

甚大な被害と奇跡の生還。碑の概要

【訪問日:2026年4月25日】
県道23号沿い、県漁協宇佐統括支所の入り口に、その石碑は建っています。 この碑は、昭和南海地震による大津波で甚大な被害を受けながらも、古くからの教訓によって犠牲者を最小限に食い止めた記憶を伝えています。

碑の概要
  • 碑名: 震災復興記念碑
  • 災害名: 昭和南海地震(1946年12月21日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 建立年: 1949年(昭和24年3月)
  • 所在地: 高知県土佐市宇佐町宇佐3160-1
  • 伝承内容
    • 昭和21年(1946)12月21日に発生した昭和南海大地震により、津波が7、8度宇佐の町を襲った。
    • 町の82%にあたる1,320戸が被害を受けた。
    • しかし、犠牲者が死者1名、行方不明者1名にとどまったのは「欲を捨てて逃げた人は命が助かる」という伝承のおかげである。

驚きの事実。1,320戸が被災して犠牲者はたった2名

伝承内容を読んで驚いたことは、被害の大きさと犠牲者の少なさのギャップです。 津波によって町全体が海原になるほどで、町の8割以上にあたる1,320戸もの家屋が被害を受け、県内では死者670人を出したこの大地震において、宇佐町の犠牲者はわずか2名(死者1名、行方不明者1名)にとどまっています。

亡くなったのはショック死とみられる80歳余りのお年寄りと、混乱の中で空襲と間違えて山側とは違う方向へ逃げてしまったと思われる6歳の男の子だったそうです。 建物の被害に比べてこれほど犠牲者が少なかったのは、「欲を捨てて逃げた人は命が助かる」という言い伝えを町の人々がしっかりと守ったからなんですね。

欲を捨てて逃げた者は、命を助けることができた

〈往時ヨリ云イ傳フ慾ヲ棄テテ逃ガレタ者命助カリシ〉〈犠牲者ノ僅少ハコノ戒ニヨル〉(古くから言い伝えられている。欲を捨てて逃げた者は、命を助けることができた。犠牲者がわずかであったのは、この戒めを守ったからである)

しかし、犠牲者が少なかった理由は、過去からの「口承」だけではありませんでした。

私は経験者やき、津波で死なれん。

夜明け前の暗闇の中、「津波が来るぞー!」「早う山へ!」と町のあちこちで近所の人同士が避難を呼び掛け合った「人への思い」が大きな力になりました。 当時を経験した方は今でも、「私は経験者やき、津波で死なれん。(次に)地震が来たら、近所のみんなあに『避難せえっ』て呼び掛けるつもりです」と語っておられることを紹介する記事がありました。(この一文を拝見したとき目頭がジワりとしました)私たちも、こうした先人たちの「命を守り合う思い」というバトンをしっかり受け継いでいきたいですね。

記事情報:高知新聞社 2016.01.14 08:00
「昭和南海地震の記憶(12-終)経験者やき、呼び掛ける」より

何度も大津波を乗り越えてきた宇佐の歴史

なぜ宇佐町の人々がこれほどまでに素早く避難できたのか調べてみると、歴史的な背景がありました。 宇佐町は過去の歴史上、何度も大きな津波に襲われています。

例えば、江戸時代の1707年に起きた宝永地震の被害をまとめた「谷陵記」という記録には、地震と津波によって「亡き所」になってしまった「亡所」の一つとして宇佐町が登場します。 そうした何度も町が波にのまれるような悲しく恐ろしい歴史があったからこそ、「命以上の貴重品はない、欲を捨てて逃げろ」という教訓が生まれ、地域の人々の心に深く刻み込まれてきたのかなと想像しました。

空振りも、素振りもない。いつも本番。

台風や大雨、地震・津波による避難情報が出た際に耳にすることがある「また、空振りでしょ。」「素振りのつもりで」のような言葉がありますが、どちらも危険な考え方だなと感じています。なぜなら、その根底に「これは本番ではない」が潜んでいるからです。

避難情報が発令された、その事実を自分の都合よく解釈しているにすぎません。考えることなく動くとを決めておかなければ「また空振りじゃないかな、今回は避難を見送ろうかな」なんて考えている時間が命取りになってしまう可能性があります。(地震→津波まで数分しかない場合もあります)

まもなく出水期

まもなく出水期です。(日本では一般的に、6月から10月までの約5ヶ月間を指し、自治体や河川管理者が水害に対して最も警戒を強める時期)被害や犠牲がでないように避難情報が発令されたら早めの避難で、どうかご安全に。

さいごに

災害伝承を知れば知るほど、自然災害からは「逃げるが勝ち」なのは歴然です。伝承を伝える自然災害伝承碑はじめ、全国各地に災害教訓が残されています。

現地へ行く、実際に見る、五感で体感することの大切さを皆さんにお伝えしています。 過去の災害から学び、将来に備えることは、自分だけでなく大切な家族や友だちの命を守る力になります。皆さんもぜひ、身近な災害伝承に触れてみてくださいね!

では、また!ベルでした!😊

ABOUT ME
ベル
ベル
災害伝承ラボのX係
災害時に役立つバンダナと帽子がわりのパトライトがお気に入り。 災害伝承のこと、自然災害伝承碑を巡る旅と防災の情報をXで発信係です。
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