地震

自然災害伝承碑|148年前の教訓が昔話に?!高知県香南市「懲毖」が伝える「油断大敵」の戒め

Bell

こんにちは!ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐる旅をしています。今回は高知県香南市の飛鳥神社の境内にある、安政南海地震の記憶と「油断大敵」の本当の恐ろしさを伝える「懲毖(ちょうひ)」という石碑を訪ねました。

148年前の教訓と油断の代償

高知県香南市香我美町岸本にある飛鳥神社の境内に、どっしりとした石碑が建っています。 この碑は、安政南海地震による大津波で大きな被害を受けた地域の人々が、過去の教訓を活かせなかった後悔と、未来への強い戒めを伝えるために建てられました。碑の名前にある「懲毖(ちょうひ)」とは、「懲りて慎む」という意味が込められているそうです。

碑の概要

  • 碑名: 懲毖(ちょうひ)
  • 災害名: 安政南海地震(1854年12月24日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 建立年: 1858年(安政5年)
  • 所在地: 高知県香南市香我美町岸本(飛鳥神社境内)
  • 伝承内容
    • 嘉永7年11月4日(1854年12月23日)の地震では、手結の湊が干上がるなどの異変があったが、あまり驚く人はいなかった。
    • 翌5日(24日)の午後4時頃に大地震と津波が発生し、夜須の町家などが半数以上流失した。
    • 人々は148年前の宝永地震(1707年)を昔話のように思って油断していた。
    • 今後いつまた地震が起こるか予測できないので、後世の人々は決して油断せず用心すべし。

宝永地震を昔話だと思って油断した

伝承内容で私が一番印象的だったのは「148年前の宝永地震の記憶を昔話のように思い、油断していた」とあることです。 前日の地震で海が干上がったりする不気味な現象が起きていたのに、あまり警戒する人がいなかったこと。そして翌日に大津波が襲い、夜須の町家などが過半流失する甚大な被害を出てしまった…。

いくら過去に大きな災害があっても、100年以上という長い年月が経つと、その記憶は「ただの昔話」として片付けられてしまう……。当時の人々が「油断の大敵に遭った」と後悔する姿と、近年の災害での伝承を知ってさえいればの後悔を重ね、人間の心の盲点が自然現象を災害へと変える一番の脆さなのでは?と改めて思い直しました。

神社と共に永きにわたって伝えていこう

この碑には、災害の悲惨さを伝えるだけでなく、神仏のご加護によって怪我人がなかったことや避難した山々で暮らしたこと、そして、次の世代への深い思いが刻まれています。

碑文は「諺に油断大敵とは深意あることにて 仮初(かりそめ)に思うべからず」という強い言葉から始まります。自分たちが油断してしまったからこそ、「後世の人々には、今回の変事を昔話のように思って油断し、悲しい思い(患い)をしてほしくない」という切実な願いが込められているのです。

動くことのない石碑にわざわざ事の顛末を刻んだ先人たちの、未来の命を守ろうとする温かく力強い思いのバトンを、私たちもしっかりと受け継いでいきたいですね。

おまけ〜命を守る力になる「災害伝承」〜

過去に発生した自然災害の記録や教訓・知恵を、後世に伝えるための伝承を「災害伝承」と呼びます。 災害伝承には、石碑や古文書のような文字によるものから、口伝えの民話、さらには被害を受けた建物(災害遺構)など、さまざまな種類があります。

これらは単なる歴史の記録ではなく、「自分だけでなく大切な家族や友だちの命を守る力」になる、みんなの大切な宝ものです。 皆さんの身近にも、まだ知られていない災害伝承があるかもしれません。ぜひ、少し意識して探してみてくださいね!

経験と知識のシャワーを
災害伝承とは
災害伝承とは

今回も現地へ行くことで碑文に込められた深い思いをより実感することができました。実際に現地を訪れると、「あぁ、あのあたりまで逃げたんだ、けっこう距離があるな」とか「海からこんなに近いと津波はあっという間にきただろうな」と五感で体感することができます。

資料やインターネット情報などの数字で見る感覚と自分の五感で感じた感覚はずいぶん違います。わたしはこの感覚を研ぎ澄ますことがとても大切だと思っています。神戸で開催している自然災害伝承碑をめぐるまち歩きのイベントでは、実際に体感していただきながら解説をしています。

経験と知識のシャワーを
災害伝承ウォークラリー 神戸編  報告③
災害伝承ウォークラリー 神戸編 報告③


このような取り組みは全国どこでも可能です。防災士の方や学校、地域などでも活用いただければと思います。そのためにも「災害伝承」がどういうものかを体系的に知ることと活用方法を知ることが大切と考え「災害伝承検定講座」(オンライン講座+e-Learning+習熟度検定)を開催しています。ぜひ、ご活用ください。(次回、初級講座は秋口に開催予定です)

今月は農作業ではりきっています笑。今年も無事にお米がとれますようにと祈っています。
では、また!ベルでした!😊

ABOUT ME
ベル
ベル
災害伝承ラボのX係
災害時に役立つバンダナと帽子がわりのパトライトがお気に入り。 災害伝承のこと、自然災害伝承碑を巡る旅と防災の情報をXで発信係です。
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