兵庫県|過去の災害を今後の警鐘に
自然災害伝承碑と聞くと、古い、過去を生きた先人が残したもの、新しいものは近年の災害を伝えるもの。そんなイメージがあるかもしれません。しかし、2021年に兵庫県南あわじ市福良甲に建立された2つの自然災害伝承碑は、近年の災害でもなく、過去を生きた先人が残したものでもありませんでした。
警鐘を鳴らす存在にと令和3年建立
2021年(令和3年)に建立された2つの自然災害伝承碑がある場所は、淡路島と徳島県にかかる鳴門大橋が近い海辺の町です。
自然災害伝承碑は、建立年から75年前と60年前に発生した2つの災害を伝えるものでした。2つの場所には同じ内容が刻まれており、それぞれに赤い線で当時の最高潮位も刻まれています。
・昭和21年(1946)12月21日発生 昭和南海地震での津波到達
・昭和36年(1961) 9月16日発生 第二室戸台風での高潮被害
この2つの自然災害伝承碑は、地域の方々の思いで建立されたものです。下記のニュース記事にある地域の方のコメントを読んで、地域を思う人の心と地域のつながりの強さを感じました。
「当時のことを覚えている人は少ない。今後の災害に警鐘を鳴らす存在になってほしい」と設置した住民協議会の責任者ら。
神戸新聞NEXT 2024.6.6 https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/202112/0014915954.shtml
現地訪問の重要性
2つの自然災害伝承碑はいずれの自然災害伝承碑も海が近く、ほんのりと海の香がしました。現地訪問をすると五感を通して色んな情報に触れることができます。海辺の町を訪ねたときに、いつも実感するのは海からの距離感覚です。
距離ではなくて、距離感覚です。
例えば、今回の2箇所は、1つが海まで96m(国土地理院GSIマップツールで計測)、もう1つが海まで104m(同じ方法で計測)です。
・下の写真は海まで96mのところにある自然災害伝承碑(赤丸付近が海です)
・下の写真は海まで104mのところにある自然災害伝承碑(写真なので感覚とは言い難いです)
・海まで96m
・海まで104m
数字で表現された情報を受け取る場合は、それ以外のことは想像でしかありません。調べてみれば数字で表現されたデータで把握することはできますが、感覚で捉えることはできません。
ここでいう感覚は、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を指しています。人間が自然を感覚で捉える力は、数字からや、デジタルツールからよりも、現地で災害をもたらした自然を前にして感じ、鍛えることが重要・必要です。
そして、津波からの避難においては、この距離を自分はどれだけの速さで移動できるのか。自分の身体能力を知っておくことは大前提で必要です。
数から質が生まれ、見えてくるものが変化する
自然災害伝承碑めぐりを続けることで、現地へ行けばいくほどに、現地へ行くことの重要性と自分の変化を実感しています。五感で捉えることに知識と経験が重なっていき、現地で着目する視点は大きく変化しました。
手前味噌ですが、その視点の質は自然への畏敬、正しく恐れることにつながるものへと向上していると実感しています。自然災害伝承碑めぐりを始めた頃とは圧倒的な変化です。それは避難行動の向上に繋がっていること間違いないと自分では思っているのですが。。。😅
自然災害伝承碑めぐりを始めたころは、年代、災害種別、被害状況、災害教訓など、碑文に刻まれていることに注目していましたが、だんだんと周辺状況に注目するようになり、地形や地名、気候の特徴なども訪問前に下調べするようになりました。
自然災害伝承碑は災害の被害があった場所だけでなく、人が集まるところや、人通りが多いところ、そして、避難する場所(指定緊急避難場所の近くだけでなく、高台、津波避難タワー等々)の近くにあることが多いです。
こちらは、神社の鳥居横に建立されていました。社へと続く階段の真新しい手すりに、地域の方々への思いやりを感じます。
福浦港津波防災ステーション「うずまる」
南あわじ市にある道の駅「福良(ふくら)」にある「福良港津波防災ステーション」にもお邪魔しました!こちらは小さなお子様から大人の方までデジタルツールを活用して楽しく学べるようになっていました。
入り口すぐの大きな柱には安政南海地震レベルの想定津波高と最大クラスの想定津波高の表示がありました。8mは2階の天井近い高さでした。怖いですね。(下の写真右)
そして、壁面には福良(ふくら)地区の「津波避難の7箇条」はじめ、福浦港の防災情報や、海外も含め津波災害を経験した人々の言葉が紹介されていました。福浦港、福良地区、津波に関する情報に絞られていて、とてもわかりやすく参考になるものばかりでした。
おまけ
淡路島といえば⁈
食いしん坊ベルは「玉ねぎ!」と「お線香」です!!じつは淡路島はお線香の生産量は日本一!歴史も長く、1850年、江戸時代に遡ります。
そして、玉ねぎは本当に美味しくて、ご存知ない方は「高い!」と言われるのですが、お召し上がりいただきますと、その価格に納得いただけるかと・・・✨
残念ながら、今回は鳴門大橋を渡って徳島へ向かう時間の関係で、玉ねぎを味わうことも、お土産に買うこともできず淡路島を後にしましたが、おすすめのバーガーがあるので、そちらの情報を置いておきます!
・道の駅うずしおinうずまちテラス (下の写真はこちらからの景色です!)
・「あわじ島バーガー」淡路島オニオンキッチン
わかりにくいかもですが、鳴門大橋の左手下あたりに渦らしきものが!
淡路島・徳島の鳴門大橋周辺には景色だけでなく、食(海幸も豊富です!)を楽しめる観光スポットとしてもおすすめです!
ベルでした!