東京都|猛火に川へ身を投じた犠牲者

アーユーボーワン!ベルです。
前回・前々回に引き続き、東京都でめぐった自然災害伝承碑をご紹介します。今回は東京都墨田区です。両国駅を下りたら、お相撲さんの姿が✨鬢付け油のいい香りがしました!
大震火災竪川岸遭難者追善石造地蔵菩薩立像

碑の概要
- 碑名:大震火災竪川岸遭難者追善石造地蔵菩薩立像
- 災害名:関東大震災(1923年9月1日)
- 災害種別:地震
- 建立年:1924年
- 所在地:東京都墨田区(回向院:えこういん)
- 伝承内容
- 大正12年(1923)9月1日の午後
- 竪川岸は黒煙と猛火に包まれた
- 数百の避難民が竪川(たてかわ)へ身を投じ溺死
- 焼死者も多数
- 石碑の台座に「追善のために」と刻まれている
- 追善供養のために建立されたと考えられる
この災害に関する情報

こちらの自然災害伝承碑の伝承内容に、「竪川に身を投じ」とあり、事前に地図で確認すると隅田川が近いことはすぐにわかるのですが竪川(たてかわ)はわかりにくいです。竪川は地図に赤色で引いた線のところにあります。
竪川は、隅田川と旧中川(正式名称です)を結ぶように流れている人工河川(運河)です。なんと江戸時代、1659年に作られたものです。
地図でわかりにくかったのは、竪川の上が首都高速の高架で覆われていて、さらに半分(東側)は暗渠(あんきょ:地下に埋設されたり、蓋をされたりした水路のことです。)になっているからでした。
竪川や旧中川がたどってきた移り変わりも深く濃く、それだけでも巡りができそうなほど行ってみたいスポットがたくさんありました。水門や橋、公園など、川を軸にして防災まち歩きをするのも楽しそうです☆
⭐︎ちょこっとついで情報!
・暗渠(あんきょ:地下に埋設されたり、蓋をされたりした水路)
・開渠(かいきょ:地上に見える、蓋のない水路)
・渠(きょ:人工的な水路を指す言葉です)
ちなみに、この地域を重ねるハザードマップでみてみると、、、、浸水のリスクが広範囲であることがわかります。低地なんですね。(自然災害伝承碑はすべての災害種類を表示)

災害伝承は今に生かすことが重要
関東大震災という名前だけ知っていると多くの人が川に身を投じ犠牲となるほどの大火災があったことはイメージできないと思います。しかし、過去の災害記録や伝承を少し深掘りしてみるだけで「災害名」だけでは想像できない様々なことがわかります。
石碑や文書、口承(語り継ぎ・口伝え)など、さまざまな形で継承されてきた災害伝承を知るだけでも役立つものではありますが、さらにもう一歩踏み込んで、「じゃぁ今はどうなんだろう?」と、ほんの少しでも「いま、ここ、私」に寄せてみてください。
重ねるハザードマップで確認する
例えば、災害伝承に触れたときには重ねるハザードマップで現地を確認してみることを強くおすすめします。一つ前の画像では、石碑と竪川の場所を確認し、自然災害伝承碑(すべての災害種類)も重ねて表示をしています。
もっと範囲を広げて、洪水・内水のリスクを表示し、自然災害伝承碑も洪水・高潮・津波に関するものだけを表示したものが下の画像です。

緑色の自然災害伝承碑は水害に関するもの(洪水・高潮・津波)のみ表示しています。河川に沿うように位置し、大雨や台風による洪水や浸水などにより発生した災害について警告や教訓を伝えてくれています。
土地や地形が持つリスクは、数十年前も、数百年前も変わらずリスクが続いていることがあります。災害伝承は想像や想定ではありません、実際におきた事実です。ただの昔話ととらえてしまうことは時に危険をはらみます。
過去の災害を知らないというのは最大のリスク
日本は豊かな自然に恵まれ、たくさんの恩恵をうけて私たちは暮らしています。しかし、それは厳しくも恐ろしい自然と共に暮らしているということでもあります。
過去の災害について学び知り、今に生かし、未来へつないでいくことは、日本で暮らす心構え(心の用意、心の備え)や作法のようなものではないかと感じています。
おまけ
さて、今回の訪問地の両国では、ちょうど相撲の九月場所が国技館で開催されていたので、少しだけ様子を見に行きました。
じつは大学生のときに卒論の関係で両国界隈には毎日のように来ていたことがありました。相撲を題材にするほど相撲好き。相撲の場所がある期間は夕方の中継がはじまるとテレビを見たくてたまらなくなります笑。


お相撲も歴史は古く、両国では江戸時代から興行が行われていました。巡業はすごく楽しいですよ!地方巡業は特におすすめです!お相撲さんとの距離が近く、お話できたりするチャンスも✨お近くで開催されるときはぜひ!
次回も東京編をお届けします!
寒暖差が激しく体調をくずしやすい時期です。お気をつけて、ご安全に⛑️
ベルでした!