自然災害伝承碑|奈良県吉野郡「伊勢湾台風痕跡水位の碑」球体の底面が語る記憶
こんにちは!ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐる旅をしています。相棒の結ちゃんと一緒マップにピンだてしていくプロジェクトに取り組んでいます!
今回は奈良県吉野郡吉野町です。桜の名所としても有名な吉野ですが、ここにも昭和34年の伊勢湾台風の爪痕を残す重要な石碑がありました。河原屋地区にある「伊勢湾台風痕跡水位の碑」を訪ね、過去と未来をつなぐメッセージに耳を傾けました。
過去と未来をつなぐ「翼」。碑の概要
【訪問日:2025年11月22日】
吉野の豊かな自然の中に、特徴的な形をしたモニュメントがあります。こちらが今回訪れた「伊勢湾台風痕跡水位の碑」です。 この碑は単に水位を記録するだけでなく、「過去の翼」と「未来の翼」を私たち一人ひとりの心で繋ぎ止めるという深い意味が込められています。
碑の概要
- 碑名:伊勢湾台風痕跡水位の碑
- 災害名:伊勢湾台風(1959年9月26日)
- 災害種別:洪水
- 建立年:1997年
- 所在地:奈良県吉野郡吉野町大字河原屋
- 伝承内容
- 台風15号(伊勢湾台風)が和歌山県潮岬に上陸
- 吉野町をはじめ、近畿・中部地方の各地に未曽有の被害
- この大災害を契機に「大滝ダム」が計画された
- 伊勢湾台風による洪水被害という過去の翼
- 大滝ダムという未来の翼
- 2つの翼を一人一人の心の中で繋ぎ止め
- 永久に語り継ぎ、教訓を生かしてくことを目的に造られた
- 伊勢湾台風では球体底面の高さまで水が押し寄せた
本当に?驚きの水位。球体の底面まで水が?!
伝承内容を読んで一番驚いたのは最後の一文です。「伊勢湾台風では、球体底面の高さまで水が押し寄せた」とあります。
現地で碑を見上げると、その球体の位置は私の背丈よりも高い場所にあります。「えっ…こんな高さまで水が?本当に??」と、思わずまわりを見渡しました。穏やかな今の風景からは想像もつきませんが、伊勢湾台風が襲った日、濁流はこの球体の底に届くほどの勢いでこの地を飲み込んだのです。

暮らしのそばにある、過去の翼と未来の翼。
この碑が独創的だなと思ったのは、災害の悲惨さだけでなく、そこから立ち上がろうとする「未来」への視点が含まれている点です。 「過去の翼(洪水被害)」と「未来の翼(大滝ダム)」という表現には、災害の記憶を風化させず、それをインフラ整備や防災意識という形で未来へ生かしていこうという強い意志を感じます。
碑の言葉通り、記憶は時と共に忘れ去られようとしてしまいます。現地に行ってみてわかったのですが、この碑のことを説明している案内板の目の前には「ゴミ回収BOX」のようなものがあります。このように身近な場所に伝承碑があることは珍しくありません。

これまで訪問してきた自然災害伝承碑めぐり旅でも見かけることがありました。ゴミステーションのすぐ目の前や地域掲示板の目の前、公民館の敷地内、町民体育館の出入り口、、、など、地域の人が暮らしの中で利用する場所にも伝承碑はあります。
この地域では、日常で碑を目にすることで2つの翼の記憶を繋ぎ止めているんですね。わたしのように外部から訪ねてきた者であっても、案内板によって「水位」を実感することができました。伝承碑を残してくださった先人の皆さまに感謝です。
碑に導かれて。「未来の翼」大滝ダムへ
碑に刻まれていた「未来の翼=大滝ダム」という言葉。 「ここまで来たなら、その『未来の翼』も実際に見てみたい!」 というわけで、碑のメッセージに導かれるように、大滝ダムへ向かってみることにしました。
目の前に現れたのは、紀の川(吉野川)の上流に建設された巨大なダム! 実際に説明を読んでみると、この大滝ダムは、まさに昭和34年の伊勢湾台風(台風15号)による水害を契機に計画されたものだと明記されていました。

大滝ダムの建設事業全体で、約500世帯が移転を余儀なくされています。多目的ダムということで様々な役割を持つ大滝ダムは多くの人がお世話になっています。その背景には公益のために大切な住まいや暮らしをしていた場所から移転してくださった方々がいらっしゃること忘れず、洪水のない安全な暮らしができることへの感謝と水を大切に使うことをしなければと思いました。

伊勢湾台風の教訓とダム
大滝ダムは、伊勢湾台風(1959年)による甚大な被害(死者・行方不明者130人)がダム建設の直接的な契機となりました。その運用は「洪水調節」が目的の一つになっています。
台風や大雨の際には上流からの水を貯留して下流の水位上昇を抑えています。2023年の台風7号の際には、大台ケ原での豪雨に対し約1658万立方メートルを貯留し、下流の五條市での水位を1.5メートル下げる効果を発揮したそうです。
こういう機会がないと調べて知ることもなかったと思います。自分が知らないところで多くの方々にお世話になって暮らしていられることがわかり、とても貴重な機会になりました。
自然災害伝承碑めぐり旅ではダムがよく出てくる
自然災害伝承碑めぐり旅をしていると、ダムがよく登場します。運転をしていると「○○ダム→」などの看板をよくみかけます。
2025年11月22日に巡った、ほかの2つの自然災害伝承碑めぐり(伊勢湾台風之碑・水神碑)も例に漏れずダムが登場したのです。今回の「伊勢湾台風痕跡水位の碑」には伝承内容に「大滝ダム」が登場したので「これはもう見に行かねば!」と大滝ダムを見に行くことになりました。
そのときに目にした「ダムカード」の案内、ダムという看板、そして大滝ダム。ダム、ダム、ダム、と、ダムでいっぱいになってきたベルはついに「ダムツアー」に参加!その様子は番外編としてダイジェストでお届けします!
おまけ〜番外編・ダムツアー参加〜
ダムツアーは私たちも「防災まち歩き」のイベントを主催したりしていることから、いろんな「まち歩き」の情報をキャッチしている中で見つけました。京都を中心に開催している「まいまい京都」さんのツアーでした。
ベルが参加したのはこちら→「【木津川ダム群】国交相担当者と特別潜入バスツアー!一般立ち入り禁止のダム内部へ〜最新工事現場からダムカレーまで、淀川水系をドボク目線で解き明かせ〜」の、めちゃくちゃ長いタイトルのツアーです笑
ぜひとも、ツアー内容をご覧ください。盛りだくさんの内容です。とっても大満足で楽しくて、そして、、、激疲れでした!前泊して参加し、終わってからの帰りの道中は睡魔との戦いでした笑
このツアー、参加して1つだけ「ダマされた!」と思ったことがありました。それは、「道のアップダウン度」です。案内には「★☆☆:星1つ(階段を登ります)」だったんですが、とんでもない鬼階段でした。。。ご参加されていた方のほとんどが40〜80代の方だったと思うのですが、みなさん健脚で、、、ベルは一人でひぃひぃ言ってました。
それから、、、高所恐怖症の人(ベル)にはとんでもなく怖かったです笑
写真では笑って写っていたりするのですが、動画ではひたすら「こわ〜、こわい〜」と言ってます!でも、このツアーのおかげで少しだけ高所恐怖症が克服できた感があります。
そして、翌朝に「超超超!筋肉痛」のおまけつきでした笑(運動不足にはご用心です)
というわけで、ダムの解説はとても素人すぎて出来ないので写真だけ置いておきます!





こちらのダムツアーは、とても人気ですぐに満席になってしまうそうです。ダムですから出水期はもちろん開催されません。季節が限られることもあって貴重な機会になっているそうです。
ご興味ある方は、「まいまい京都」さんのWEBサイトをチェックしてみてください!ほかにも面白そうな、まち歩きがたくさん開催されています!
ベルも神戸市・大阪市では経験がありますが、全国津々浦々にある自然災害伝承碑のガイドツアーを全国各地の「災害伝承士さん(災害伝承コミュニケーター)」と一緒に開催できるようにするのが目標です!災害伝承検定はガイドさんへと続く第一歩になっています。
そのために色々な他のところのツアーに入って勉強しています!防災ツーリズム、めちゃくちゃ楽しくて勉強になります。「百聞は一見に如かず」です!
現地へ行く、実際に見る、五感で体感することの大切さを実感する日々です。
さて、次回からは九州の自然災害伝承碑めぐり旅をブログします!
季節の変わり目、体調をくずされませんように。
では、また!ベルでした!😊




