地震

自然災害伝承碑|兵庫県明石市「兵庫県南部地震碑『これは』」209センチの石碑が語る記憶

兵庫県明石市の明石公園入り口と公園内にある自然災害伝承碑「これは」の写真です。
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ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐる旅をしています。相棒の結ちゃんと一緒マップにピンだてしていくプロジェクトに取り組んでいます。

今回は兵庫県明石市です。明石城跡でもある「兵庫県立明石公園」の緑豊かな敷地内に、阪神・淡路大震災の記憶を伝える石碑があります。実はこの碑、プロレス界の不世出の大スター、ジャイアント馬場さんが深く関わっているんです。過去と未来をつなぐメッセージに耳を傾けました。

途切れない思い。碑の概要

国土地理院「かさねるハザードマップ」で兵庫県明石市の明石公園内にある自然災害伝承碑「これは」の場所を示している写真です。

【訪問日:2026年1月17日】
JR明石駅のすぐ北側、明石公園の正面入り口から少し歩き、西芝生広場の木の下にその碑は立っています。

碑の概要

  • 碑名:兵庫県南部地震碑 「これは」(阪神淡路大震災記録碑)
  • 災害名:阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)(1995年1月17日)
  • 災害種別:地震
  • 建立年:1998年
  • 所在地:兵庫県明石市(明石公園)
  • 伝承内容
    • 1995年1月17日午前5時46分に発生したマグニチュード7.2の直下型地震で、明石市は死者26名、負傷者1,745人などの大きな被害をもたらした
    • 災害から生きのびるために、この地震をよく記憶することの大切さをよんだ詩が、被害の記録とともに刻まれている

本当に?驚きのサイズ。209センチの石碑が語るもの

現地で碑を見上げて驚いたのは、その高さです。白御影石で作られたこの碑は、なんと高さ209センチ。これは、ジャイアント馬場さんの身長と全く同じ「等身大」のサイズなんです!

自然災害伝承碑「これは」の正面、裏面、の様子の画像です。

馬場さんは、巨人軍の投手時代にキャンプ地だった明石で、後に奥様となる元子夫人と出会いました。震災後、神戸に比べて明石の被害が注目されにくいことを心配した馬場さんは、全日本プロレスの興行で集めた義援金を明石ロータリークラブに寄付し、この碑が建立されました。

しかし、驚くべきことにこの公共の碑には「ジャイアント馬場」という名前は一切刻まれていないんです。声高にアピールするのではなく、ただ静かに街を見守り続けたいという「隠れた英雄」としての思いを感じて、胸が熱くなりました。

暮らしのそばにある、沈黙の支援と絆

馬場さんは震災直後、周囲に悟られないようにお忍びで明石を訪れました。元子夫人の実家を片付ける傍ら、車のトランクに水やカセットコンロ、カップ麺などを積み込んで、被災したファンの方々へ直接物資を手渡しで届けて回ったそうです。避難所へ行くときも、「自分が行くと目立って皆さんに迷惑がかかるから」と、外に呼び出してもらったファンに静かに声をかけていたという配慮に、本当の優しさを感じます。

碑の正面には、詩人の安水稔和さんによる詩が刻まれています。 「これはいつかあったこと。これはいつかあること。だからよく記憶すること。だから繰り返し記憶すること。このさき わたしたちが生きのびるために。」

公園という日常の風景の中に溶け込みながら、有事の備えを私たちに静かに伝えてくれています。

おまけ〜馬場さんの終の棲家へ〜

今回は、明石駅から歩いて10分ほどの高台にある「本松寺」にも足を運んでみました。ここには、馬場さんと元子夫人が共に眠るお墓があるんです。

故郷の新潟ではなく、奥様のご実家の菩提寺である明石を“終の棲家”に選ばれたというエピソードからも、家族を大切にするお人柄が伝わってきます。

兵庫県明石市「本松寺」の正面入り口と、寺内にあるジャイアント馬場さんのお墓の写真です。

そして、お墓の横にはファンが見つけやすいようにと、黒御影石で作られた原寸大のリングシューズのモニュメントが置かれています。有名な「16文(約38.4cm)」ではなく、実際のサイズである「34センチ」で作られているところにも、誇張のないありのままの馬場さんの姿を感じることができました!

本松寺の住職さんが「穏やかな方で、馬場さんを慕い、この地で一緒に眠ることを求めたのでしょう」と語るように、お二人は本当に相思相愛のご夫婦だったそうです。かつて悲しみに暮れる奥様に「お父さんの横に2人の墓を建てよう」と声をかけ、故郷のお墓はお姉様に任せてこの明石の地に寄り添うことを決めた馬場さん。

愛する家族のルーツを大切にするその深く温かい愛情があったからこそ、明石の街を心から心配し、あの等身大の石碑を遺してくれたのだと、現地を歩いて深く実感しました。

命を守るために過去の経験を伝える「災害伝承」は、決してただの冷たい石や古い記録なんかではありません。それは「どうか生きて、大切な人の命を守ってほしい」という、誰かの深く温かい愛そのものなのだと気づかされました。だからこそ、209センチの石碑に込められた声なき願いは、時代を超えてこんなにも私たちの心にまっすぐ届くのですね。

防災に関心を持つことや備えをすることは、自分自身はもちろん、皆さんの大切な家族や友人の命を守る力になります。

皆さんも、ご自身のいちばん大切な人の顔を思い浮かべてみてください。「もしも」の時に、その笑顔を守り抜けるように。今日、お水を少し多めに買ってみる、家具の配置を見直してみる……そんな小さなことから、愛する人を守るための「備え」を始めてみませんか?

誰かをそっと見守り、愛することから始まる防災。 季節の変わり目、皆さまも体調をくずされませんように。

先人たちが残してくれた愛のメッセージ(災害伝承)を知ることは、私たちや大切な人の命を守る第一歩になります。

「もっと災害伝承について知りたい」
「自分の住む街のことも学んでみたい」

そう思ってくださった方は、ぜひ『災害伝承検定』のページも覗いてみてくださいね。
https://husegu.com/kentei_lp

では、また!ベルでした!😊

ABOUT ME
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一般社団法人 災害伝承普及協会
「みんなの心をつないで防ぐ」をコンセプトに活動しています。防災における災害伝承の大切さを発信しています。自然災害伝承碑の探訪を通し、石碑に残された先人の思いやりの心をいつも感じています。防災のことや心理学の事を発信しています。
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