自然災害伝承碑|福岡県うきは市|「不屈」の文字に身が引き締まる「山潮記念碑」
ベルです。全国の自然災害伝承碑をめぐっています。
前回の予告どおり、今回はわたしが必ず行きたい!と願っていた福岡県の石碑です。訪ねたのは、うきは市吉井町富永にある「山潮記念碑」。碑に刻まれた「不屈」の文字に、思わず背筋が伸びました。
1946年7月8日、大谷川上流の山が崩れた
【訪問日:2026.8.12】
国土地理院の地図に載っている伝承内容によると、昭和21年(1946)7月7日から降り続いた雨は、8日未明から豪雨になりました。大谷川上流の山腹が崩れて土石流となり、泥水、砂礫、材木、巨石が西屋形地区を襲ったそうです。

- 碑名: 山潮記念碑
- 災害名: 土石流(1946年7月8日)
- 災害種別: 土砂災害
- 建立年: 1947年
- 所在地: 福岡県うきは市吉井町富永598-1
- 伝承内容:
昭和21年(1946)7月7日から降り続いた雨は8日未明より豪雨となり、大谷川上流の山腹が崩壊して土石流化し、泥水、砂礫、材木、巨石が西屋形地区を襲った。碑文には、享保5年(1720)に山潮(土石流)の災害に遭い、227年を隔てて再び同じ災害を被ったとの記述がある。また、文末には、子孫は不屈の愛郷心を受け継ぎ、不測の事態に備える覚悟を忘れるな、と記されている。
(国土地理院地図(自然災害伝承碑表示画面にある伝承内容)より)
227年を隔てて、再び同じ災害に
この碑で心に残ったのは、碑文に、1946年より前の災害のことが書かれていることです。
享保5年(1720)にも山潮(土石流)の災害に遭い、227年を隔てて、再び同じ災害を被った。碑文はそう伝えています。
227年というと、何世代も入れ替わる長さです。それでも、この地に暮らしてきた人たちは、同じ災害に遭ったことを書き残しました。碑を建てた人たちは、「前にも起きていた」という事実を、次の世代にきちんと渡そうとしたのだと思います。

「不屈」の文字に身が引き締まる
石碑に刻まれた「不屈」の文字を見たとき、なんだかグッと迫るものを感じました。迫力というか、身が引き締まるというか。
この地に住んでいるわけではないのに、愛郷心というのでしょうか、ふるさとを思う気持ちが、自分の中にもあることに気づきました。先人が私の中にある気持ちを呼び起こしてくれたのかもしれません。教科書や本の文字を通して感じるものとは違う感情というのか、石碑に刻まれた文字にはいつも心がとても揺さぶられます。石碑の向こう側にいつも人の心を感じます。
碑文の末尾には、子孫は不屈の愛郷心を受け継ぎなさい、と記されています。災害のあとにこの碑を建てた人たちは、被害の大きさを伝えるだけでなく、そこから立ち上がっていく気持ちも、子孫に託したのですね。それほど大事なことだと思われたんだと想像します。

「備える覚悟」ってなんだろう
もうひとつ、強く印象に残った言葉があります。
「不測の事態に備える覚悟を忘れるな」
「不測の事態を覚悟せよ」ではなく、「不測の事態に備える覚悟」なのです。備えるということに対して、覚悟をもつ。わたしは、そんなふうに考えたことがありませんでした。
備えは、「やったほうがいいこと」「できればやっておきたいこと」と思いがちです。でも碑は、備えることそのものに覚悟が要ると言っているように感じます。
碑が建てられたのは1947年、終戦の翌年です。どんな思いでこの言葉が選ばれたのか。これまでも戦中・戦後の碑に触れてきました。「惨状の様子は筆舌に尽くしがたい」の碑文などもあり石碑の前で号泣したこともあります。
きっと石碑に刻まなかった、刻むことができなかったような思いや状況もあったのではないかと想像したりしました。この地域のことを、もっと深く知りたくなりました。「備える覚悟」について、これからも考えていきたいです。
石碑が暮らしの中にあるということ

碑の近くには、防火用水や、木製のカメムシ調査表がありました。
碑が特別な場所にあるのではなく、地域の人たちの日々の暮らしの中で、普段から管理されたり活用されているような場所にあることがわかりました。
わたしは「防災」は特別なものにせず、暮らしの中にあるものと考えています。家庭の中においては歯磨きレベルになるといいなと思っているので、こういう様子を見ると素晴らしいなとおもいます。防火用水を見て、防火用のお水を家の中にも置いておこうと思いました。
おまけ

カメムシ調査表のことがとても気になりました!わたしの暮らす熊本・阿蘇でもカメムシがいます。「今年はカメムシが多くない?」の会話をすることがあるのです。この調査によって何か掴んでおられることとか、なぜ調査しているのか、などなど、「聞いてみたい!」と後ろ髪ひかれながら、次の石碑へと向かいました。(ご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ、教えて下さい!)
ではまた!
次回も同じく福岡県うきは市の自然災害伝承碑をご紹介する予定です。
台風が近づいています。
早め、早めの避難段取り、対策で、ご安全にお過ごしください。
ベルでした!




