|徳島県|吉野川とうだつの町並み〜徳島遠征記③〜
アーユーボーワン、ベルです!
先週の遠征記①、遠征記②に続いて、徳島県の吉野川流域を巡った遠征記です。
徳島大学環境防災センター 上月先生・松重先生にご案内いただき吉野川中流域へ。
ここには驚くような街並みがありました。
そもそも「うだつ」って?
みなさん「うだつ」が建物のどの部分かご存知ですか?
今回、徳島県美馬市脇町の「うだつの町並み」に行くまで、ずっと勘違いをしていました…。「うだつが上がらない」の言葉は知っていましたが、なんとなくここのことだろうな〜なんて感じで、ふんふんと知ったかぶってました!(泣)
「うだつ」のこと、そのほか建物のことは徳島県美馬市ホームページの観光情報にある動画がすごくわかりやすいので、ぜひご覧ください。(「うだつ」については、1:00ぐらいからです)
吉野川と藍との関係
この町並みがあるところは、吉野川中流域に位置しており、現地に行くと吉野川がすぐ近くにあることがよくわかります。
どうして?この場所なのか
うだつの町並みがある場所は、周辺の藍産地から生産物が集まり、消費地へ送り出す集散地として栄えました。その背景には吉野川とのきってもきれない関係があることを知りました。
吉野川の氾濫と藍栽培
徳島県では古くから藍が栽培されていたことが推測されていますが、その起源はわかっていないそうです。しかし、吉野川流域は繰り返し台風による氾濫の被害があり稲作には条件が悪い土地ではあったものの、氾濫により土が堆積した肥沃な土地は藍の栽培に適していました。また、台風による被害のリスクが高まる前に収穫ができることも、稲作よりも適していたそうです。
<参考サイト>
◾️四国大学:藍の研究室
<おすすめ動画>
◾️NHK徳島放送局:徳島が誇る“阿波藍”日本一の質と量で徳島を支えた藍の歴史
藍の生産が盛んになったのは
徳島の阿波藩主(蜂須賀家政)が、藩の財政を支えるために吉野川流域の藍栽培を奨励したことから生産量は増え、洪水被害のリスクが少なく、藩に守られ、稲作よりも収益が高い藍栽培が盛んになっていったそうです。
水運と川湊
吉野川の氾濫がもたらした肥沃な土地が藍栽培に適しているとて、生産したものが売れなければ盛んになりようがありません。しかし、藍栽培が盛んになり、うだつの町並みができるほどの隆盛を極めたころには、国内の藍需要は高まっていました。水運が重要な手段だった鉄道もない時代、吉野川は藍を産地から流通させる発展に貢献しました。うだつの町並みがある美馬市脇町も、吉野川水運の船着場「川湊」となり、流通の拠点として発展しました。
<参考情報>
文化庁:重要伝統的建造物群保存地区(美馬市脇町南町)
美馬市:ホームページ「観光情報」
吉野川と人との関係
藍栽培、藍による商業的発展、現地での各種資料や説明看板、うだつの町並みなど、藍を介して知った吉野川と人との関係に、自然を受容し知恵や工夫で生きてきた先人の逞しさに感服するばかりでした。しかし、吉野川による洪水氾濫などがおさまったわけではなく、先人たちは三大暴れ川と称される吉野川から命や地域を守る工夫もたくさんしていました。
残されていた自然災害伝承碑
うだつの町並みにも自然災害伝承碑がありました。吉野川が氾濫したときの水位が石碑に赤い線で示されていました。その水位に吉野川の恐ろしさを感じました。ほかにも農具庫の屋根際に船を吊るして保管していたり、下の写真のように建物を高い石垣の上に作るなど、さまざまな工夫をしていました。もちろん!「うだつ」も火事災害による延焼を防ぐためのものです。
ほんの10年前でも吉野川は台風によって氾濫しており、写真や様子などは「吉野川 氾濫」と検索すればいくらでも見ることができます。
<参考サイト>国土交通省:四国の川「吉野川」主な災害
知って終わるだけは危険
現地ではスマホで吉野川の氾濫時の様子を見ながら移動していました。自然災害伝承碑の水位に触れたとき「へぇ〜、ここでそんなことがあったんだ」と知って終わることは、かえって危険だと思いました。
「いま、ここはどうなっているんだろう?」「どこに避難すればいいんだろう」と調べるまでを自然災害伝承碑と紐づけてセットにしなければと強く思いました。ここまで水位が来たと知っただけでは命を守ることにつながらない…
自分で運転して移動する自然災害伝承碑巡りでは特になりがちでした・・・大反省です。今回は徳島大学の上月先生・松重先生がご案内くださったことで、気づくことができました。
ハザードマップポータルサイトで確認
スマホがあれば、1分もかからずに情報が把握できます。国土地理院地図ではハザードマップポータルサイトで自然災害伝承碑を表示することもできます。自然災害伝承碑巡りは見知らぬ土地に行くのでハザードマップに表示して利用しています。(画像をクリックするとハザードマップポータルサイトの自然災害伝承碑マップが開きます。PCの場合は開いた画面の左上で表示したい災害種別をクリックしてください)
自治体のアプリも平時に
自治体によっては避難所や津波タワーの場所がわかるアプリケーションを用意しているところもあります。下の画像は、和歌山県のアプリのダウンロードサイト(iPhone用)の紹介画面です。こちらは昨年の和歌山遠征時に実際に使用してみました。GPSで自分の居場所が常に表示され、移動するにともない近くの避難場所が表示されるのは土地勘がなくても安心でした。
さいごに
藍を作るきっかけも、藍を運んだのも、藩の財政を支えたのも吉野川。人の暮らしを襲う吉野川。いろんな吉野川を知ることができましたが、ほかにも知らなかった吉野川が・・・。遠征記はいよいよ吉野川下流域へ。
次回は番外編で「6歳の子供に説明できなければ、理解したとは言えない」こんな言葉を残した偉人にまつわる徳島遠征記の予定です!
どうぞお楽しみに⭐️(毎週木曜日にブログは更新しています)
ベルでした!