鳥取県|経験と教訓を後世の市民に継承
アーユーボーワン!すべての命に。こんにちは、ベルです。
先週末に鳥取県倉吉市、鳥取市へと探訪遠征に行ってきました。不測事態の発生で作業が混んでいる状況ですが、ONとOFFの切り替えとリフレッシュも必要と、予定通りに遠征へ向かいました。
自然災害伝承碑探訪の旅は観光の旅とはちがい、ちょっとした宝探しやオリエンテーリングに近く、災害伝承とか防災のことなので不謹慎かもしれませんが、地図や情報にある写真と景色を現地で照合しながら自然災害伝承碑を探すことが楽しく夢中になってしまうので、日常のことはすっかり忘れてリフレッシュでき、見つけたときの達成感に喜びを感じます。
今日のブログは、なかなか見つけることができず、同じところを3周して見つけることができた「追悼と記憶の碑 鳥取地震」を紹介します。
戦時中の大地震だった鳥取地震
先週の三河地震と同じく、鳥取地震も太平洋戦争中に発生した大地震でした。そのため鳥取地震も被害報道を抑制され、地震の翌年に鳥取県が発刊した「鳥取県震災小誌」も一般に公開されないなどの戦争の影響を色濃くうけている背景がありました。
概要 | |
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碑名 | 追悼と記憶の碑 鳥取大地震 |
災害名 | 鳥取地震 (1943年9月10日) |
災害種別 | 地震 |
建立年 | 2023 |
所在地 | 鳥取県鳥取市尚徳町 |
伝承内容 | 昭和18年(1943)9月10日、鳥取地方をマグニチュード7.2の大地震が襲い、死者1,210人、住居の全半壊13,132棟、全半焼163棟という大きな被害をもたらした。地震から80年にあたり、犠牲者追悼の意を表すとともにこの経験と教訓を後世の市民に継承するため、ここに碑を建立する。 |
制限事項 |
石碑の背面にある碑文
1943昭和18年9月10日午後5時36分 鳥取地方をマグニチュード7.2の大地震が襲い、死者1,210人住居の全半壊13,132棟全半焼163棟という大きな被害をもたらした。多数の死者に火葬が間に合わず千代川の河原で茶毘に付す状況であった。
鳥取地震から80年にあたり、犠牲者追悼の意を表すとともにこの経験と教訓を後世の市民に継承するため、ここに碑を建立する。
2023和5年9月10日
犠牲者を悼む鳥取市民
2023年に遺族をはじめ賛同者によって建立
鳥取地震のことは今回の探訪に向けた下調べで初めて知りました。鳥取県は洪水、室戸台風の伝承碑があるところのイメージが強く、地震の伝承碑ってあったっけ?と思いつつ調べてみると、、、それもそのはず、この伝承碑は2023年に建立され、同年10月26日に地図記号に登録されたものでした。
産経新聞,2022/9/22,11:00「知られざる戦時統制下の鳥取巨大地震 80年目の慰霊碑建立へ」の記事にその経緯が詳しくありました。震災当時の様子もあります、ぜひ読んでみてください。
当時幼齢だった方々、ご遺族、防災関係の方々や、お寺関係の方など、慰霊碑建立の賛同者の方々で「鳥取地震犠牲者の慰霊碑(記念碑)建立をめざす会」を設立されています。
以下、記事からの抜粋です。
鳥取地震では慰霊碑がないのはなぜ の疑問が出発点
「阪神大震災や東日本大震災では慰霊碑があり、慰霊祭が行われているのに、鳥取地震では慰霊碑がないのはなぜ」。同会の設立は、元高校教諭で事務局長の渡辺耕次さん(61)が5年ほど前に抱いたこんな疑問が出発点だった。
調べてみると、鳥取地震と同じ戦時中に発生した東南海地震(昭和19年)、三河地震(同20年)を含め、百人以上の規模で死者が出ている近年の地震ではすべてに慰霊碑があった。
鳥取地震で両親のきょうだい4人が亡くなっており、鳥取地震のことがずっと頭にあったという渡辺さんは、遺族や防災関係者、寺院などに話を持ち掛け賛同者を集め、昨年6月、会の設立にこぎつけた。
渡辺さんは、慰霊碑建立の機会はこれまでに何度かあったが市財政の窮乏などで立ち消えとなりタイミングを逸したと分析したうえで、「課題を将来世代に積み残してはいけない」と指摘する。
アクセス日/2024.12.5/https://www.sankei.com/article/20220922-YGNHS6EQ3RP2NFZP43MT5A6URA/
地震の記憶がある人はみな85歳を超えている。行政の対応を待っていられない。
記念講演会で、橋本会長は「地震の記憶がある人はみな85歳を超えている。行政の対応を待っていられない。発生80年となる来年には碑を建立したい」と力を込めた。同会が今年春から始めた募金活動では、目標に掲げた200万円を上回る金額が9月10日までに集まっている。現在は建立場所について鳥取市と協議に入っており、同会は、早ければ年内に場所を確定したいとする。
アクセス日/2024.12.5/https://www.sankei.com/article/20220922-YGNHS6EQ3RP2NFZP43MT5A6URA/
こちらの記事から1年後、ちょうど鳥取地震から80年の2023年9月10日に旧鳥取市役所の広場に建立され除幕式が行われています。
探訪した日(2024.11.30)現在は、前述の写真右側のように伝承碑の周辺は何もない状況ですが、防災機能を備えた緑地公園として整備される予定だそうです。
災害伝承は受け継ぐだけでありません
災害伝承というと、歴史とか、伝統とか、昔話、古いもの、、すでにあるものを受け継ぐこと、、そんなイメージがあるようですが、そうではありません。今回にご紹介した「追憶と記憶の碑 鳥取大地震」のように新たに作り未来へ残すことも災害伝承です。
災害伝承は多くの人に知ってもらうだけではなく、心構えや備え、発災時に生かすことが最も大切ですが、とはいえ、まずは知ることから。一人でも多くの方に災害伝承を知っていただき、防災に生かし、災害伝承(人に伝える)をしていただけたらと思います。
伝承を残してくれた人々の思いや教訓を、みんなの宝ものとして共有できたらと思います。
さいごに
写真では大きさがわかりにくいというお声をいただきましたので、今回、計測ができるアプリで伝承碑を計測してみました。
現地はとても広い場所にあったので、そこまで大きく感じなかったのですが、計測してみるとこんな感じでした。高さはベルの身長と同じくらいの高さがありました。😲
おまけ
いつも自然災害伝承碑の探訪では、スマートフォン、タブレッド、ノートパソコンなど使って国土地理院のGSIマップ、グーグルマップを見ながら場所を特定していくのですが、今回はなかなか見つかりませんでした。
写真のように周辺が工事中のようになっていて、立ち入り禁止のゲートが設置されていたため道路の様子が地図とは違っていたのです。。。
周辺を回ること3周。遠くから見えた小さな看板に「もしかして、、、」と近づきましたら、いらっしゃいました!!!😭会えてよかったよ〜〜、めっちゃくちゃうれしかったです!
粘ってよかったです!
防災設備を備えた緑地公園が完成するのが楽しみです。また再訪したいと思います。
災害伝承そのもの、そして自然災害伝承碑の現地を訪ねることの楽しさ、魅力をもっとお伝えできるように色々な発信形態にも挑戦し、工夫を重ねていきたいと思います。
次回も鳥取県の自然災害伝承碑を紹介したいと思います!お楽しみに⭐︎