土砂災害

|奈良県|2,600人600戸が北の大地へ移住

Bell

こんにちは。
地震被災をきっかけに番犬ならぬ防災犬に目覚めたベルです。
心理学を勉強しながら防災・減災・縮災の情報を集めています。

今日は奈良県で初遭遇した銅像タイプの伝承碑について紹介します。

冬になると訪ねるのが難しいと聞き・・・

冬になると積雪や路面凍結で訪ねることが難しくなると耳にしたことから、秋のはじまりの頃に奈良県の山間部へ行くことにしました。国土地理院の自然災害伝承碑マップを眺めていると、奈良県十津川村に伝承碑が集中していることに気づき訪ねてみることにしました。

初遭遇!銅像タイプの伝承碑

十津川村にたくさんある伝承碑をいくつも巡ったのですが、今回は銅像タイプの自然災害伝承碑に初遭遇し、銅像という新しいタイプの伝承碑におどろいただけでなく、その伝承碑に紐づくエピソードも驚くものがありましたので紹介したいと思います。

新十津川物語「津田フキの像」

明治22年紀伊半島大水害(十津川大水害)(1889年8月19~20日)

十津川村は未曾有の豪雨に襲われ、死者168名に及ぶ大被害をこうむった。このため、被害を受けた住民のうち600戸2600名は北海道移住を余儀なくされた。このことを描いた児童小説「新十津川物語」の主人公津田フキは9歳まで十津川村で育った。
(国土地理院 自然災害伝承碑マップより)

この津田フキ像の自然災害伝承碑には驚きと感動を覚えるエピソードが紐づいていました。

児童文学作品からドラマ化

十津川村での水害をうけて北海道へ移住した人々の物語は、奈良県五條市出身の児童文学作家 川村たかし氏の作品です。全10巻にまとめられた物語はテレビドラマ化され、1991年〜1992年にNHK土曜ドラマで放送されました。北海道の新十津川村には物語にちなんだ新十津川村記念館もあるそうです。

十津川大水害で両親を失った津田フキは、兄とともに新天地を求め、北海道開拓に向かう2600人の集団の一人として、自然や大地と格闘し生命力をもらいながら新十津川村を開拓する、第一世代の住民となる。そして、過酷な自然と運命に翻弄されるフキの80年近い人生を描きつつ、フキの子供時代や子・孫・曽孫、波乱万丈の日本の近代を生き抜いた様々な人々の姿を描く。

(新十津川物語:Wikipediaより)

厳しい開拓、いま現在も続く交流に感動

北海道の移住先は大木が生い茂る未開の地を開拓した土地であったため、石狩川の氾濫に悩まされるも、水害を経験し治水の重要性を理解していた十津川村の人々はそれらも見事に克服し、稲作も盛んに行うことができるようになり、現在では、北海道内有数の米どころになっているそうです。

徳富川(とっぷかわ)の清流によって育まれた粘りのある美味しいお米が獲れるそうです。ぜひ一度、食べてみたいです!

2つの津田フキ像

奈良県の十津川村役場前にある津田フキ像は、奈良県を離れた9歳のときの津田フキ像で、北海道の新十津川町の方角を向いて建立されています。

そして、北海道の新十津川町にある津田フキ像は、17歳になった津田フキ像で、奈良県の方角を向いて建立されています。

これら2つの銅像は、北海道の新十津川町が3体制作し奈良県の十津川村へ贈られたものだそうです。奈良県の9歳の津田フキ像、北海道の17歳の津田フキ像は2つの故郷を思って向かい合っているそうです。

今もつづく物語、母子の村

1,200キロもの距離が隔てる2つの十津川(村・町)は、100年を超える今も「母子の村(おやこ)」と呼び合う交流が続いています。住民同士の交流だけでなく、共同で農産物のPRを行ったり、奈良県の十津川村が被災した際(2011年紀伊半島大水害)には北海道の新十津川町の職員を派遣したり、寄付金・町民からの義援金を送るなど、あたたかい交流がつづいているそうです。(参考:日本経済新聞社記事・より詳しくはこちらから)

JR奈良駅に奈良県のアンテナショップ「奈良のうまいものプラザ」があるのですが、なぜに北海道のものがあるんだろう?と思っていたのですが、交流事業により提供されているそうです。すてきですね。

さいごに

奈良県十津川村は、春は桜、夏は避暑地、秋は見事な紅葉をもとめ、多くの人が観光で訪れる場所です。僕たち家族も年に2回は観光で訪ねてきていましたが、今回のエピソードについては全く知りませんでした。

今回の自然災害伝承碑を巡る旅をきっかけに、僕たち家族は伝承碑巡り旅のとりこになっていきました。明日からのお正月休みでも巡れるところはないかと地図とにらめっこをしています。伝承碑巡りの旅ブログはまだまだ続きそうです!

ブログを読んでくださりありがとうございます。
今日は2022年12月29日、今年の最後のブログです。

寒い日が続いています。
体調にはお気をつけて、よいお年をお迎えください。

2023年もどうぞよろしくお願いします。
ベルでした!

ABOUT ME
ベル
ベル
災害伝承ラボのX係
災害時に役立つバンダナと帽子がわりのパトライトがお気に入り。 災害伝承のこと、自然災害伝承碑を巡る旅と防災の情報をXで発信係です。
記事URLをコピーしました