洪水

滋賀県|お寺の石垣に刻まれた線の意味は…

Yui

こんにちは。結(Yui)です。友人のベルちゃんと一緒に自然災害伝承碑をマップにピン建てしていくプロジェクトを一緒に行っています。

明冶二十九年洪水石標

2023年5月5日 (曇り時々晴れ)

今回も前回に引き続き滋賀県です(前回が3月でしたのでお忘れかもしれませんが)。大津市にある善念寺の裏手の石垣に刻んである石標です。自然災害伝承碑は碑というだけあって石碑になっているものが多いのですが、こちらは石垣に琵琶湖大洪水の際の水位が線として引いてあります。石垣に線、というパターンは自然災害伝承碑としては全国的にも珍しいと思います。

あれ?こんなに下の方にある線?大したことないのでは?と思われるかもしれませんが、この災害は1896年(明治29年)にものすごい雨量(9月3日から12日の間に1,008mmを記録)による洪水で、あの琵琶湖の水位が+3.76mにも達しました。すごい雨量ですよね。また琵琶湖周辺の大体の地域において今回の水害の被害が出ており、死者も29人、全壊3,00戸という大惨事になりました。

琵琶湖および周辺地域は、この明治29年以降も台風や低気圧による記録的な大洪水に13回ほどにみまわれています。そのたびに家屋が浸水したり、堤防が切れたりしました。同じ場所で同じような災害が起こることは多々ありますが、どうしてこれほど琵琶湖周辺には洪水の災害が多いのでしょうか。それは…次回のお楽しみ~。

滋賀県HP>>明治29年琵琶湖洪水水害概要:https://www.pref.shiga.lg.jp/suigaijyouhou/gaiyou/105764.html

国土交通省近畿整備局>>琵琶湖の洪水の歴史:https://www.kkr.mlit.go.jp/biwako/seta_sluice/rekishi.html

おまけ – 近江日野商人館

今回は前回ご紹介した近江日野商人館の中で勉強した近江日野商人の知恵を一つご紹介します。近江日野商人は元々は行商から始まりましたが、その後他国でお醤油や酒蔵等の出店を行うようになります。そうなるとお店のご主人(多くは家の商売を支えるの大黒柱的存在の男性)は、当然自宅に帰る機会が少なくなり、近江の自宅は留守がちになります。現代で言えば単身赴任ですね。そしてそうなってくると防犯が心配。そこで残った奥様(関東後家さん)は男性の草履を玄関の入口において「ここには大人の男性がいますよ」と暗に知らせ、防犯対策としていたようです。

今では一人暮らしの女性が男性物の洗濯物を干したり、窓ガラスに防犯フィルムを貼るなど様々な防犯対策がありますが、こんな昔にすでにこういった防犯対策が取られているのは感心してしまいました。やはり昔の方から学ぶべきものはいろいろあるな~と感じた近江日野商人館でした。

結(Yui)でした。ではまた~☆

近江日野商人館:https://hinosyouninkan.jp/

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一般社団法人 災害伝承普及協会
「みんなの心をつないで防ぐ」をコンセプトに活動しています。防災における災害伝承の大切さを発信しています。自然災害伝承碑の探訪を通し、石碑に残された先人の思いやりの心をいつも感じています。防災のことや心理学の事を発信しています。
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